樅の木を詠う

今回は投稿いただいた作品をお送りいたします。

ご投稿下さった方は敢えてお名前を伏せてくださいとのご依頼を受けましたので、ペンネームも無しで掲載します。


題:樅の木


雪の中に立ち尽くす樅の木 

ひと冬を孤独の中で耐えて待っていさえすれば 

春はやがて必ず訪れる と


風の匂いの中に 樅の木はやがて それを見つける

その嬉しさ 張りつめていた雪は

枝から 滴り落ちて 大地を潤し始める


やがて鳥がやってくる 蝶もやってくる

樅の木は もう大丈夫だと思う

森に日差しが射しこみ 凍っていた小川は流れ始め

再び巡ってくる春


そういうものだ いつも いつもそうだった

そんな風に生きてきた

雪の中に立ち尽くす彼

けれど この冬は特別な冬だと 

あれから150年過ぎた事を 彼は解っていた

でも樅の木の彼にしてみれば それはあっという間の出来事だった

冬の大地にそびえる樅の木の群れ

厳しい寒さ、降り積もる雪。めぐりゆく季節をどのように感じ、どのようにやり過ごしてきたのでしょう。

詠み手のご自身の生き方と生き様が重なります。


ご投稿ありがとうございました。  社会不適合オヤジⅡ 拝

和歌で遊ぼう!

心にうつりゆくよしなしごとを そこはかとなく書き付くれば

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